経営環境の激変と中小建設業経営
今、中小建設業を取り巻く経営環境が激変し、新しい時代の経営のあり方が問われています。
重要な環境変化を確認し、経営再設計の重要性を考えます。
1.長く続く原価高騰トレンド
新型コロの感染拡大は「原材料の供給混乱・価格高騰」など大きな混乱をもたらしました。ロシアのウクライナ侵攻は「エネルギー資源・材料費の高騰」をもたらしました。この2つの大事件が収束した後も、エネルギー高騰や材料費高騰は続くと指摘されています。それは、西欧が権威主義国家へのサプライチェーン依存度が高すぎると問題発生時のリスクが大きいと考え、比較的コストが高い西欧寄りの国のサプライチェーンの再構築に動いているからです。これは中小建設業の原材料費・燃料費の高騰が長く続く可能性を示唆しています。
2.国策としての賃上げ
昨今の物価高騰を背景に、国策としての人件費UPが打ち出されました。それに大手企業も同調し賃上げを断行しています。中小企業においてもその流れが始まり、これから賃上げが本格化すると思われます。まだ多くの中小企業が、「価格転嫁ができない状況にあり賃上げは難しい」と考えているようにお聞きします。
しかし、中小建設業でもこの流れに対応できないと、「人材採用」ができないばかりでなく「人材流出」につながる可能性もあります。これは中小建設業の死活問題であり人件費高が長く続く事を示唆しています。
3.2024年からの残業規制適用
残業規制の適用は中小建設業にとって大きな問題です。これは本来業界全体で改善しなければならない問題だと考えます。繁忙期・閑散期の波を解消するための発注者の変革、無理な工期設定の改善等々。
しかし、それを待っていては問題は解消されず中小建設業にしわ寄せがくるだけです。残業が制限されるという事は、人材の投入を増やしたり、外注先への依存度を高めたり、移動時間削減を意図した営業エリアの見直しを迫られたりと、様々な経費高につながる可能性があります。労働時間の制限からせっかくの案件を受注できないという最悪の事態も想定されます。
昭和63年、中央大学商学部卒。
その後、大手ゼネコン勤務等を経て、平成7年、石田雄二税理士事務所開業。
「会計事務所は最も身近な経営スクール」をモットーとし、マネジメントゲームを用いた経営指導は県外にまで及ぶ。
広島県創業サポーター。広島県事業引継ぎ支援センター登録専門家。