個人事業主の経営経験
個人事業の確定申告書にご注意
個人事業で建設業を行った場合、当然、確定申告書では『事業所得』が計上されます。
これが、個人事業として『事業を経営してきた』という経営経験にカウントできるものです。
つまり、事業所得が計上されている確定申告書をもって、経営管理責任者の経営経験を疎明
することができるようになるのです。
ところが、この場合でも、確定申告書の内容によっては経営経験としてカウントできない
ことがあります。それは、『給与所得が計上されている』という場合です。
給与所得が計上されているということは、自身の事業以外にどこかから収入があったという
ことになります。給与所得が計上されている確定申告書というのは、
どこかへ働きに出たという証拠の残った資料となります。
つまり、これは、『事業主が1年間フルに建設業を営んできた』ということと矛盾するため、
給与所得の計上された確定申告書では経営経験の疎明には使うことができないのです。
また、過年度の確定申告書の控えが無い場合、税務署に情報開示請求を行うのも一手です。
時間を要しますが、税務署に申告していた事実が証明可能となります。
過去に提出した確定申告書の情報を知るには、以下の2つの手続きがあります。
閲覧請求
納税者本人または代理人が、税務署の窓口で過去に提出した申告書を閲覧することができます。代理人が閲覧する場合は、委任状が必要になります。
閲覧の際にはメモ、写真撮影が可能です。閲覧請求では、紙面の申告書控えをもらえません。
開示請求
納税者本人または代理人が、郵送または窓口で「保有個人情報開示請求書」を提出し、後日、確定申告の控えを受け取ることができます。所得証明などで申告書の控えが必要な場合の手続きです。
閲覧請求は窓口で行うためすぐに対応してもらえますが、開示請求は確定申告の控えを受け取るまでにある程度の日数(2週間から1カ月が目安)がかかってしまいます。
昭和63年、中央大学商学部卒。
その後、大手ゼネコン勤務等を経て、平成7年、石田雄二税理士事務所開業。
「会計事務所は最も身近な経営スクール」をモットーとし、マネジメントゲームを用いた経営指導は県外にまで及ぶ。
広島県創業サポーター。広島県事業引継ぎ支援センター登録専門家。