『減収(売上減)を容認する計画を!』 …筋の悪い売上は概ね薄利(赤字)です。
■増収(売上増)発想からの脱却!
事業計画を作る時には、売上は当然伸びるとする会社様が大半
です。
例えば、今後5年間毎年売上を伸ばし、その中で原価と費用を
賄いながらも営業利益を少しは増やす、このような計画が大半
です。増収を前提にした計画です。計画書作成後は、売上の達
成状況を第一義に確認しながら経営を行います。売上目標の達
成のためには、原価や販管費の上昇も仕方ないと考えてしまう
ようです。この考え方は、時に売上至上主義を招きます。
■減収(売上減)を容認する計画を!
貴社が、上記のような考え方を長期間続けていたならば、一度
発想を変えてみることをお薦めします。減収(売上減)を容認
する考え方です。
例えば、次年度の計画を作る時に、売上は2%減じても良いと
する一方、粗利益率は2%向上する目標を立てます。この時、
ほとんどの会社様は減収&増益になります。減益にはなりませ
ん。売上を何としても死守する発想を捨てることができれば、
筋の悪い売上を捨てることができます。経営が、会社が大きく
変わります。
売上には筋の良い売上と筋の悪いそれがあります。言いかえる
と、無理なく立てた売上と、無理して立てたそれです。後者は
概ね薄利(赤字)であり、時に大きなトラブルを招きます。
減収を容認することで、後者の売上を捨てることができます。
■以下のような仮説が生まれます。
『日本の企業は売上高確保、増収(売上増)にこだわり過ぎて
います。何が何でも売上高を確保しようとすると、売上高を確
保するために多くの犠牲を払うことになります。利益を犠牲に
した安易な値引きや安い値決めを招きます。利益に見合わない
過大な広告コストを支払う羽目になります。採算を度外視した
幅広い品ぞろえや長時間営業を行うようになります。顧客の過
度な要求を受け入れてしまいます。売上至上主義は、分散症候
群や安売り症候群を招く原因のひとつです。脱・売上至上主義、
減収(売上減)を容認する経営に移行してください。』
■繁盛貧乏からの脱却を!
会社は、忙しければ相応に利益が出るはずです。【繁盛高収益
状態】です。逆に、利益が出ていなければ暇なはずです。【閑
散貧乏状態】です。ところが、少なくない中小企業は忙しいの
に利益も出ていない状況に陥っています。【繁盛貧乏状態】で
す。ここに大きな疑問を持ってください。
筋の良い売上に付加して、筋の悪い売上を無理やり取りに行っ
ていることが原因のひとつです。この不要な売上を排除するた
めに、減収(売上減)を容認する経営を一時的に行うことは有
効です。
言うまでもなく売上は重要です。2%の減収でも5年続けば
10%売上が減じます。減収を容認する経営を長期間続けるこ
とは困難です。数年に一度、または、数年間に限定して、敢え
て減収を容認する経営を導入してください。
今まで取り組んでいなかった会社様は、向こう数年間に限定し
て、敢えて減収を容認する事業計画を立案して執行してくださ
い。経営が、会社が大きく変わります。
昭和63年、中央大学商学部卒。
その後、大手ゼネコン勤務等を経て、平成7年、石田雄二税理士事務所開業。
「会計事務所は最も身近な経営スクール」をモットーとし、マネジメントゲームを用いた経営指導は県外にまで及ぶ。
広島県創業サポーター。広島県事業引継ぎ支援センター登録専門家。