『資本性ローンによる経営改善の事例』 …資本性ローン借り入れのポイントを解説します。
先日、日本政策金融公庫の資本性ローン2,000万円の調達
をお手伝いしました。資本性ローンとは、日本政策金融公庫が
取り扱う5年から15年の期日一括返済型の借入ですが、金融
機関が融資審査を行う際には資本と見做してもらえます。財務
内容の改善に取り組む企業や、売上がすぐには立たない新規事
業に取り組む企業に適した借入です。
S社の事例をご紹介します。
【S社の概要】
直近売上高 約2億5,000万円
直近簡易CF(税引後利益+減価償却費) 約1,500万円
直近純資産 ▲500万円
直近有利子負債 約1億6,500万円
数年前に大口顧客から契約を解除されて売上が半減し、大幅赤
字、債務超過に陥ってしまいました。
その後、経費の見直しを中心としたコストカットに取り組み、
直近決算では黒字化を果たしたものの、依然として債務超過の
状況にあります。
資金繰り面においても、約1,500万円のキャッシュフロー
がありますが、毎月160万円の返済を継続しているため、決
して楽ではありません。これまでも、社長自身で資金調達に動
いてきたようですが、やはり債務超過を理由に断られてしまっ
たとのことです。
S社のように、足元の業績が回復しているにも関わらず、債務
超過が原因で新規資金調達に苦慮している場合は、再生型資本
性ローンの活用がおすすめです。S社は500万円の債務超過
に陥っていますが、仮に2,000万円の資本性ローンを借り
入れできれば、債務超過は解消し1,500万円の資本正と見
做されることになります。
早速、経営改善計画書を作成し、日本政策金融公庫に打診しま
した。計画の内容を前向きに捉えていただき、「資本性ローン
が入れば、積極的に支援してくれる取引金融機関があった方が
審査を進めやすい。」とのアドバイスをもらいました。
アドバイスのとおり、メインの金融機関に出向き、資本性ロー
ンを活用した経営改善計画を説明したところ、「確約はできな
いが、債務超過という障害がなくなれば、新たな融資も検討可
能である。」との見解を頂戴し、さらに、公庫の担当者に電話
を入れて支援の意思表明をしてくださいました。
結果、2,000万円の資本性ローンを無事に受けることがで
きましたが、公庫の担当者は、「民間金融機関の支援姿勢を確
認できたことが大きかった。」とおっしゃっていました。
その後、メインの金融機関からも1,000万円の追加融資を
受けることができ、資金繰りは十分に安定しました。
足元の業績は回復しているが、債務超過により資金調達に苦慮
している企業様は、資本性ローンの利用を検討してはいかがで
しょうか。ご相談ください。
昭和63年、中央大学商学部卒。
その後、大手ゼネコン勤務等を経て、平成7年、石田雄二税理士事務所開業。
「会計事務所は最も身近な経営スクール」をモットーとし、マネジメントゲームを用いた経営指導は県外にまで及ぶ。
広島県創業サポーター。広島県事業引継ぎ支援センター登録専門家。