『契約形態や労働形態は様々です。』 …50人の社員を抱える会社の事務所に、50人分のスペース は必要か? (※日本次世代企業普及機構研究会資料より一部抜粋させてい ただきました。)
働き方改革は、契約形態や労働形態の多様化を意味します。
■自然人と法人との契約の形態は様々です。大きく四つに区分
できます。
◆1.雇用契約
○労働者は「労働時間」を提供することで、会社から「賃金」
を受け取れます。
○成果物の完成責任は負いません。
○指揮命令権はあります。
○労働力の提供が行われないと、その責任が問われます。
◆2:派遣契約
○労働者は派遣会社に雇用され、派遣会社は提供する「労働時
間」に対して報酬を受け取れます。
○成果物の完成責任は負いません。
○指揮命令権はあります。
○労働力の提供が行われないと、その責任が問われます。
◆3:請負契約
○請負人は「仕事の完成」と引き換えに会社(依頼者)から報
酬を受け取れます。
○成果物の完成責任を負います。
○指揮命令権はありません。
○成果物が納品されない、成果物の不良や不具合(瑕疵担保責
任)に対して責任が問われます。
◆4:委任、準委任契約
○断続的な業務処理(法律行為など)に対し、一定の報酬を受
け取れます。
○成果物の完成責任は負いません。
○指揮命令権はありません。
○約束していた業務が適切に実施されていない(善管注意義務
違反)ことに対して責任が問われます。
正社員・派遣・アルバイトなどの、「労働時間を提供して対価
を得る」働き方だけでなく、「対価を担保して時間を自由にす
る」請負契約的な働き方も増えてくるはずです。
■テレワーク(離れたところで働く)の労働形態も、ますます
増えそうです。大きく三つに区分できます。
◆1:在宅勤務(終日在宅勤務)
終日、所属するオフィスに出勤しないで自宅を就業場所とする
勤務形態です。オフィスに出勤したり、顧客訪問や会議参加な
どによって外出したりすることがなく、1日の業務をすべて自
宅の執務環境の中で行います。通勤負担が軽減され、時間を有
効に活用することができます。
◆2:モバイルワーク
移動中(交通機関の車内など)や顧客先、カフェなどを就業場
所とする働き方です。営業など頻繁に外出する業務の場合、様
々な場所で効率的に業務を行うことにより、生産性向上の効果
があります。テレワークでできる業務が広がれば、わざわざオ
フィスに戻って仕事をする必要がなくなるので、無駄な移動を
削減することができます。
◆3:サテライトオフィス
所属するオフィス以外の他のオフィスや遠隔勤務地の施設を就
業場所とする働き方です。例えば、所属するオフィス以外の他
のオフィスが従業員の自宅の近くにある場合、そのオフィス内
にテレワーク専用の作業スペースを設けることで、職住近接の
環境を確保することができ、通勤時間も削減することができま
す。また、遊休施設や空き家などを活用して行う遠隔勤務には、
組織の活性化や地方創生など、多様な期待が寄せられています。
一昔前とは様変わりした労働に対する考え方が、様々な契約形
態を創出していくはずです。
また、進化したITが、新しい労働形態を可能にしてくれまし
た。10年前には考えられない働き方ができます。
業種や業務によって異なりますが、先入観にとらわれ過ぎず、
新しい契約形態や労働形態に挑戦することも、働き方改革の波
に乗るための重要な要素ではないでしょうか。
50人の社員を抱える会社の事務所には、50人分のスペース
を用意する、この常識が非常識になる日も近そうです。
昭和63年、中央大学商学部卒。
その後、大手ゼネコン勤務等を経て、平成7年、石田雄二税理士事務所開業。
「会計事務所は最も身近な経営スクール」をモットーとし、マネジメントゲームを用いた経営指導は県外にまで及ぶ。
広島県創業サポーター。広島県事業引継ぎ支援センター登録専門家。