『事業計画と融資』 …将来の事業計画よりも足元の数値管理が大切です。
「事業計画書で融資が決まる」と言われるとおり、実体を伴っ
た事業計画書は融資審査を良い方向に導きます。しかし、事業
計画書だけで融資が決まることはありません。事業計画書より
前に、多くの審査ポイントがあります。
事業計画書は、企業理念に始まり、会社概要、事業内容、組織
体制、市場分析、財務分析、中長期経営目標、中長期数値計画、
単年度経営目標、単年度数値計画等で構成しているのが一般的
です。
良い事業計画書は、単なる説明や数字の羅列ではなく、最初の
ページから最後のページまで矛盾の無いストーリーになってい
ます。また、ストーリーの背景には社長様の熱い思いが込めら
れており、理論だけで無く感情にも訴えかける魅力があります。
しかし、どんなに素晴らしい計画書を作成しても、実体を伴っ
ていなければ評価は限定的です。いくら将来的に大きな利益が
上がる計画であっても、現在の実績が悪過ぎれば信じてもらえ
ません。どんなに立派な経営理念や目標があっても、現在の管
理体制がずさんであれば実行力が伴っていないと判断されます。
また、融資のためだけに作成された立派すぎる事業計画書も問
題です。特に、第三者が作成したテクニカルな計画書は、社長
様が自分の言葉で説明できないため、金融機関から悪い印象を
持たれてしまうことすらあります。
中小企業にとって、事業計画書を運用するのは、作成すること
よりも更に困難です。企業経営に関する知見や財務の知識が要
求されるのはもちろん、日々の営業活動など、管理よりも優先
して取り組まなければならないことがたくさんあるためです。
よって、金融機関も事業計画書を絶対的な融資の判断材料とは
していません。
事業計画書を作成して運用することはもちろん大切ですが、融
資を申し込むにあたっては、将来の事業計画よりも、現在の利
益や資金繰りの状況がわかる「試算表」や「資金繰表」をしっ
かりと作成することが優先です。融資審査のポイントを間違え
ないようにしてください。
昭和63年、中央大学商学部卒。
その後、大手ゼネコン勤務等を経て、平成7年、石田雄二税理士事務所開業。
「会計事務所は最も身近な経営スクール」をモットーとし、マネジメントゲームを用いた経営指導は県外にまで及ぶ。
広島県創業サポーター。広島県事業引継ぎ支援センター登録専門家。