『経営体が患う4大疾病の三つ目『前のめり症候群』という疾病の正体は…』(その3) …会社の実力以上に事業を攻めすぎる、組織を大きくし過ぎる 病です。
…前回号からのつづきです。
■創業者~中小企業まで、その大半は小資本、過小資本で経営
しています。少しのミスが致命傷になります。この実態を謙虚
に受け止めて、(資本を積み上げるまでは)出来るだけリスク
を取らない経営を行うしか他に方法はありません。
過少資本である現実を無視して、大きく攻め込んでしまう経営
者は危険です。
少しばかりうまく行ったから・うまく行きそうだと考えて、安
易に人を増やす、事業所を拡大する、事業領域を広げる等々、
この判断とタイミングを間違えると命取りになります。
このステージでは、行き過ぎるデメリットは、遅れるデメリッ
トよりもはるかに大きくなります。小資本、過小資本の会社は、
少し遅れながら攻めてください。
※攻めるためには余力が必要です。自己資本の充実や財務戦略
が重要です。
■この様に、実力以上に攻め込む経営体を『前のめり症候群』
と呼びます。『前のめり症候群』の経営体には、以下のような
症状が現れます。
1.ぎりぎりの経営をしていると感じる。〔 〕
2.毎日が緊張の連続で疲れる。〔 〕
3.少し売上が落ちるとすぐに経営が厳しくなる。〔 〕
4.資金繰りに追われている。〔 〕
5.攻めすぎているかも、と感じることがある。〔 〕
6.攻めすぎたと反省している。〔 〕
いかがでしょうか?
■病名:『前のめり症候群』を整理します。
○会社の実力以上に事業を攻めすぎる、組織を大きくし過ぎる
病です。
○原因
攻めるタイミングが、攻める規模が、自社の資本力・体力に比
べて早すぎる、大きすぎることが原因です。また、財務無策や
緩慢な経営管理が気付きを遅らせています。
○症状
持ち合わせた経営資源のすべてを出し切って、ぎりぎりの経営
を行っています。ひとつ判断が狂うと、一挙に経営の根幹が揺
らぎかねない状況に陥ります。企業経営においては、どうして
もこのステージを避けられないこともありますが、可能な限り
回避すべきです。それを恒常的につづけていると、会社も社長
も疲れ果ててしまいます。極めて危険な状況です。早期の治療
が必要です。
■『前のめり症候群』への対応は、事業の速度を落とすこと、
後退させることで、前のめりの角度を緩やかにすることです。
一方、財務戦略を確立することで補うことができます。
また、自己資本の充実や財務戦略をしっかり確立するまでは、
出来るだけリスクを取らない経営を行うしか他に方法がありま
せん。
○対策
変化に対応できる柔軟性(Flexible)のある企業体を維持してく
ださい。
・事業を攻め過ぎないでください。
・ビジネスモデルを早期に固め過ぎないでください。
・経営の推移を小まめに把握してください。
■経営体は大きく4つの疾病を患っていると思っています。
◆病名1:分散症候群 …有病率50%
◆病名2:安売り症候群 …有病率50%
◆病名3:前のめり症候群…有病率30%
◆病名4:お人好し症候群…有病率60%
◎これらの疾病に対する処方箋が以下です。
【SP(Simple&Profitable)経営 基本方針】
◆第1条:すべてを単純(Simple)にすること。
◆第2条:高収益(Profitable)な企業作りを目指すこと。
◆第3条:変化に対応できる柔軟性(Flexible)のある企業体を
維持すること。
◆第4条:経営判断を明確に(Clearly)にすること。
…次回号につづきます。
昭和63年、中央大学商学部卒。
その後、大手ゼネコン勤務等を経て、平成7年、石田雄二税理士事務所開業。
「会計事務所は最も身近な経営スクール」をモットーとし、マネジメントゲームを用いた経営指導は県外にまで及ぶ。
広島県創業サポーター。広島県事業引継ぎ支援センター登録専門家。