『社長の業務と現場仕事のバランス!』 …会社のステージによって比率は変わります。
中小企業経営者は、百%経営者業務のみを行っているわけでは
ありません。執行部分、大企業流に言うなら執行役員部分や部
長、場合によっては担当者の仕事も担っています。経営者業務
と執行業務を分けて考えておかないと、どうしても執行業務に
追われます。結果として、経営者不在の経営が続くことになり
ます。
■優秀な店舗デザイナーA氏は、数名を連れて起業しました。
○A氏は優秀なデザイナーです。デザインのクオリティーは抜
群です。デザインを24時間考え続けながら、素晴らしいアウト
プットを行います。クライアントからも高い評価を得ています。
執行者として評価するなら満点かもしれません。
○一方、会社の経営は順調ではありません。仕事を安定的に受
注する仕組みがないからです。A氏はいつも、店舗のデザイン
に関する読書に耽っています。A氏は店舗デザインが大好きで、
24時間365日そのことのみを考えています。
○この会社は経営者不在の状況が続いています。A氏は、自分
の好きなデザインに対する執着は強いものの、経営を考えるこ
とが嫌い、苦手なようです。会社としての成長は難しいでしょ
う。本来A氏は、トップデザイナーとしての執行業務と、社長
としての経営者業務を同時に担わねばなりません。今のA氏は、
後者の業務を行っていません。経営が上手くいくはずありませ
ん。
逆に、創業者や小規模企業経営者の場合、自分自身が執行者と
しての役割を果たさず、もっぱら経営のみに専念することも、
物理的に不可能です。最も優秀な執行者、社員としての業務を
担うことも必要です。
■経営管理に長けたB氏は、数名を連れて起業しました。
○B氏は上場企業の取締役まで経験した敏腕ビジネスマンです。
経営管理は大の得意分野です。机上での計画書作りやマネージ
メントは得意ですが、現場で業務を執行するつもりはないよう
です。大きな資本で、人材を確保して始める起業ならこれで良
いのですが、小資本・少人数での起業には向かないタイプです。
○創業者や小規模企業経営者の場合、自らが最も優秀な開発マ
ン・営業マンでなければなりません。この機能を他人に頼るの
は、その資金力に無理があります。経営者としての仕事だけで
なく、執行者としての仕事の比率を高くとる必要があります。
小さな会社と大きな会社では、その仕組みが異なります。小規
模創業から企業規模を拡大できた経営者は、その経営者として
の仕事と、執行者としての仕事の割合を上手にコントロールで
きてきたようです。
■経営者業務と執行業務の業務比率のイメージ…
◆創業時の業務比率、経営者業務:執行業務=2:8
◆50人超の人員の時の比率、経営者業務:執行業務=6:4
◆300人超の人員の時の比率、経営者業務:執行業務=9:1
◆1,000人超の人員の時の比率、経営者業務:執行業務=10:0
○創業時の業務比率、経営者業務:執行業務=0:10の経営
者がいます。A氏です。食ってはいけるかもしれませんが、会
社の成長は望めません。
○創業時の業務比率、経営者業務:執行業務=10:0の経営
者がいます。B氏です。そもそも会社が立ち上がらないはずで
す。(大資本での創業は除く。)
経営者は、会社の置かれている状況やステージによって、その
業務分配比率をバランスよく調整していかねばなりません。こ
のバランス感覚も、経営者にとって必要な資質の一つです。
◎貴方の会社のステージはどこですか?
◎貴方の業務分配比率は適切ですか?
自問自答してください。
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昭和63年、中央大学商学部卒。
その後、大手ゼネコン勤務等を経て、平成7年、石田雄二税理士事務所開業。
「会計事務所は最も身近な経営スクール」をモットーとし、マネジメントゲームを用いた経営指導は県外にまで及ぶ。
広島県創業サポーター。広島県事業引継ぎ支援センター登録専門家。