『創業時や新規事業の立ち上げ時には、計画をコントロールで きません!』 …それでも、経営を管理する、この目標を捨てないでください。
創業時や新規事業立ち上げ時に、計画通りコントロールするこ
とはほぼ無理です。売上高・粗利益率・販管費のすべての項目
を確実にコントロールすることは最終目標です。
■経営の最終目標は、様々な指標を確実にコントロールするこ
とです。これができれば、結果として望む利益も創出できます。
◆ただ、これらの指標は、それらが複雑に絡み合っているので
厄介です。
例えば…
・売上を上げようとすると、販促費(販管費)が膨らむ。
・一方、販促費(販管費)を投入しても、予定通り売上が増え
るわけではない。
・割引をして粗利益率を落とすと売上が増えることがある。
・ただ、売上が増えても、粗利益の総額(売上×粗利益率)が
増えないこともある。
・逆に、値上げをすることで、売上が増えることもある。
・営業人員(販管費)を増やせば売上が増えるはずである。
・ただ、人件費(販管費)の増加分を賄えないこともある。
・旅費交通費(販管費)を減らせば、売上が落ちることがある。
・開発費(販管費)を増やせば、将来の売上は増えるはずだ。
・ただ、将来とはいつなのか、また、どれぐらいなのか予見し
にくい。
◆また、投資と成果には時間差が出ることも問題を厄介にして
います。
例えば…
・販促費(販管費)の投入と売上の増加には、タイムラグが発
生する。
・営業人員(販管費)の投入と売上の増加には、さらに大きな
タイムラグが発生する。
・開発費(販管費)の投入と売上の増加には、相当長期のタイ
ムラグが発生する。
◆本来コントロールできるはずの、単独の販管費項目ですら見
込み違いが発生します。
例えば…
・人件費(販管費)に想定外の時間外手当が発生して止まらな
い。
・採用がうまく進まず、採用コスト(販管費)が膨らんだ。
・投資(販管費)が計画を大きく上回ってしまった。
・原価の高騰で粗利益率が下がってしまった。
だから経営とは面白くもあり辛くもありますが、社長という道
を選んだのなら、楽しみながら取り組みたいものです。
■長い時間を経て、経営管理体制を構築して、安定した業績を
出せている会社は、様々な指標が、結果として適正にコントロ
ールされています。
既存の業容のまま、少しの成長を付加しようとするとき、結果
に大きな狂いは生じないはずです。販管費に新規採用分の人件
費や追加の開発費・販促費等を追加して、それらの売上に対す
る貢献分を売上に足しこんで利益を予見します。ただ、大きな
投資や新しい事業に挑戦する時は、上記の様に容易ではありま
せん。現業の指標に対して、動く費用の割合が大きくなるので、
その精度は著しく低下します。
■創業時や新規事業の立ち上げ時に、計画通りコントロールす
ることはほぼ無理です。
第20期目に立てた第21期目の計画は、総じて正しく終結す
るはずです。
一方、創業時に立てた第1期目の計画は、概ね当たりません。
故に新規事業の立ち上げ、創業は、少なくない割合でうまくい
きません。また、「創業事業計画を鵜呑みにしてはいけません。」
とお伝えするのはこのためです。
■それでも、経営を安定・成長させるためには…
◆1:コントロールできることを完全にコントロールすること
◆2:頑張ればコントロールできることをできるだけコントロ
ールすること
◆3:コントロールできないことには、出来るだけ適合するこ
と
この三つを意識して経営していかねばなりません。極めて難解
なコントロール業務も、意思を持って継続すれば、何とかなる
ものです。
経営の最終目標は、売上高・粗利益率・販管費のすべての項目
を確実にコントロールすることです。これができれば、結果と
して望む利益も創出できます。まずは、月次の資金繰り管理か
ら始めてください。
経営を管理する、この発想は極めて重要です。意識して継続す
れば管理は出来るようになります。
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昭和63年、中央大学商学部卒。
その後、大手ゼネコン勤務等を経て、平成7年、石田雄二税理士事務所開業。
「会計事務所は最も身近な経営スクール」をモットーとし、マネジメントゲームを用いた経営指導は県外にまで及ぶ。
広島県創業サポーター。広島県事業引継ぎ支援センター登録専門家。