『グループ会社を持つ企業の調達事例』 …金融機関への説明のポイントを解説します。
3社のグループ会社を持つ会社の事例です。グループの概要は
下記となります。今回、C社の資金調達をお手伝いしました。
A社:設立6期目(借入実績あり)
B社:設立4期目(借入実績あり)
C社:設立3期目(借入実績なし)
金融機関の担当者は、一般的にグループ会社のある企業への融
資検討を嫌います。理由は単純に手間がかかるためです。
グループ会社のそれぞれが全く別の事業を営んでおり、かつ、
グループ間で一切の取引も無い場合は、単独の会社として融資
検討をすることが可能です。しかし、大抵の場合、グループ間
で営業上の取引があったり、資金の貸し借りがあったりするた
め、融資対象の会社だけでなく、関連するグループ会社すべて
の財務状況を審査しなくてはならなくなります。通常の会社を
審査するよりも数倍の手間がかかります。
具体的には、グループ間で利益操作を行っている可能性を払拭
するために、グループ合算の貸借対照表や損益計算書を作成し
ます。すべてのグループ会社の決算月が同一であれば簡単です
が、決算月が違う場合は正確な財務状況がつかみにくくなるた
め、さらに作業が複雑になります。
しかし、手間をかけてグループ合算資料を作成したところで、
必ず融資を出せるとは限りません。金融機関の担当者の立場で
考えると、「融資案件が他にもある中で、わざわざ手間のかか
る案件に関わりたくない。」というのが本音だと思います。
それでは、グループ会社のある会社はどのように融資を申し込
めば良いのでしょうか。答えは、金融機関の担当者に出来るだ
け手間をかけさせないよう、会社側が資料を作成するというこ
とです。
金融機関が必ず知りたがるポイントは下記です。
・グループ合算で利益が出ているか?
・グループ合算で債務超過となっていないか?
・グループ間で実態のない取引を計上していないか?
・グループ間で資金の融通がないか?
これらの疑念を払しょくするためには、最低限、下記の資料を
用意する必要があります。
・グループ全体の資産、負債と資本の状況が分かる合算貸借対
照表
・グループ全体の利益状況が分かる合算損益計算書
・グループ間の取引状況が分かる取引関係図
C社も、これらの資料を作成して提出することで、無事に満額
の融資を受けることができました。
昭和63年、中央大学商学部卒。
その後、大手ゼネコン勤務等を経て、平成7年、石田雄二税理士事務所開業。
「会計事務所は最も身近な経営スクール」をモットーとし、マネジメントゲームを用いた経営指導は県外にまで及ぶ。
広島県創業サポーター。広島県事業引継ぎ支援センター登録専門家。