『財務の役割について』 …財務機能が自社に欠けていることを認識しましょう。
ある程度成長した企業には財務部があります。財務部は、金融
機関の目線を考慮した決算を組み、日常的に金融機関とコンタ
クトを取り、融資を受ける際には金融機関の評価ポイントをお
さえた計画書の作成等を行います。
このような企業では、社長自らが銀行に提出する資料を作成し
たり、折衝したりすることは殆どありません。手間の問題もあ
りますが、財務業務の専門性を考慮し、専任の担当部署を置い
て対応にあたらせることが多いようです。
一方、中小企業はどうでしょうか。必要に迫られた時に社長様
が手探りで行っているのが実情です。ほとんどの中小企業では
財務機能が欠落しています。財務業務は経理や税理士さんに任
せているとおっしゃる社長様もいらっしゃいますが、財務を経
理や税理士さんに任せているという思い込みは危険です。
経理や税理士さんの主な役割は会計基準や税制に沿って正しく
税務処理を行うことであり、金融機関の考え方を理解し、金融
機関が評価する資料を作成し、会社の実力相応の資金調達を行
うことは本来のミッションではありません。
事実、本来受けられるべき融資を受けられていない企業が多数
あります。要因は様々ですが、決算書が税務目線だけで作成さ
れており金融機関の評価を得られにくい、金融機関の評価ポイ
ントを考慮できていない計画書を提出している等、財務機能が
しっかりしていれば融資を受けられたと考えられるケースもた
くさんあります。
会計業務、税務業務、財務業務はそれぞれ似て非なる業務です。
すべての企業が税務申告を行っているはずですので、中小企業
であっても基本的な会計と税務の機能は備わっていると考えて
問題ありません。しかし、財務機能を有している中小企業は少
数です。
中小企業が財務機能を万全にすることは、人材面、費用面にお
いて容易なことではありませんが、まずは自社に財務機能が備
わっていないことを認識することが重要です。
財務の強化は現状認識から始まります。今一度、自社が財務機
能を有しているか検証してください。
昭和63年、中央大学商学部卒。
その後、大手ゼネコン勤務等を経て、平成7年、石田雄二税理士事務所開業。
「会計事務所は最も身近な経営スクール」をモットーとし、マネジメントゲームを用いた経営指導は県外にまで及ぶ。
広島県創業サポーター。広島県事業引継ぎ支援センター登録専門家。