『間違えやすい経営常識18!』 …大企業の常識は、時に中小企業の非常識に当たることが あります。
何が正しいのか?大変難しいテーマです。『対局にも真あり』
とも言われます。それでも社長は日々多くの判断をくだしてい
ます。過去の経営判断の集積が現状であり、これからの判断の
結果が未来の経営成績に反映されます。判断の精度が原因、経
営成績が結果、タイムラグを経て明確な因果関係が生まれます。
社長は、何を基準に経営判断を行っているのでしょうか?理詰
めで考えて判断する以外に方法はありません。常に自身の頭の
中で考えを突き詰めて、論理に沿って判断すべきです。絶対に
やってはいけないことは、曖昧な形で伝わってくる、無責任な
世間の間違え常識を鵜呑みにすることです。
曖昧な形で伝わってくる無責任な世間の間違え常識の中には、
疑問を投げかけたくなる内容も混ざっています。特に違和感を
持つのは、大企業の常識と中小企業の常識の違いが勘案されて
いない内容です。大企業の常識は、時に中小企業の非常識に当
たることがあります。
◆間違え常識3、◆間違え常識8や◆間違え常識14はその典
型例です。
◆間違え常識1:収益性の良し悪しは、マネージメントやマー
ケティングで決まる。
⇒違います。その前に事業立地・ビジネスの型の良し悪しが重
要です。飽和した事業立地で、収益力の低いビジネスの型で
事業を行うことには限界があります。
◆間違え常識2:経営の生産性向上のためには、改善すること
だ。
⇒違います。止めること・絞ることです。
◆間違え常識3:マーケットインこそすべてだ。
⇒必ずしもそうではありません。(中小企業には)プロダクト
アウトこそ重要です。ニッチマーケットを開拓するためには、
仮説から始まるプロダクトアウトこそ重要です。
◆間違え常識4:社長は、急ぎで重要なことに専念すべきだ。
⇒違います。社長の仕事は、急ぎでない重要なことへの対処で
す。
◆間違え常識5:売上こそ経営の肝だ。
⇒違います。多くの場合、利益の方が重要です。
◆間違え常識6:売れないので価格を下げる。
⇒違います。価格を売るための道具に使ってはいけません。
売れるように価値を向上させてください。
◆間違え常識7:協業先を早く作りたい。
⇒違います。その前に自立することです。
◆間違え常識8:衆知の経営を行いたい。
⇒違います。小さな会社は社長の独断こそ正です。
◆間違え常識9:従業員に好かれたい。円満でいたい。
⇒違います。好かれる社長のいる会社は総じてうまく行ってい
ません。
◆間違え常識10:社長が忙しい。
⇒違います。余計なことをし、コントロールできないことを考
えているからです。
◆間違え常識11:従業員(会社)が忙しい。
⇒違います。マネージメントが雑なだけです。余計なことをさ
せています。
◆間違え常識12:十分な費用を費やして最高の管理を行うこ
とが重要だ。
⇒違います。最適な管理を最小のコストで行うべきです。
◆間違え常識13:能力の限界まで出世させてあげたい。
⇒違います。能力の限界の手前に留めるべきです。
◆間違え常識14:お金は、お金が必要な時に借りる。
⇒違います。(中小企業は)お金は、借りられる時に借りられ
るだけ借りることです。
◆間違え常識15:借入れは少ない方が良い。
⇒違います。そうでないことも多いです。
◆間違え常識16:取引する銀行は大きな銀行が良い。
⇒違います。取引する銀行は分相応が良いはずです。
◆間違え常識17:現状の厳しさを強調して、金融機関に融資
を依頼する。
⇒違います。返済できる根拠を書面で示して依頼するべきです。
◆間違え常識18:創業時、自己資金が底をついて資金が逼迫
するタイミングで資金調達する。
⇒違います。デスバレーに突入する前の創業初期か、デスバレ
ーを抜け切った黒字転換後しか調達できません。
経営判断は、とことん理詰めで行ってください。絶対にやって
はいけないことは、曖昧な形で伝わってくる、無責任な世間の
間違え常識を鵜呑みにすることです。上記の間違え常識に対す
るコメントも、本当は間違えかも知れません…とことん理詰め
で考えてください。
昭和63年、中央大学商学部卒。
その後、大手ゼネコン勤務等を経て、平成7年、石田雄二税理士事務所開業。
「会計事務所は最も身近な経営スクール」をモットーとし、マネジメントゲームを用いた経営指導は県外にまで及ぶ。
広島県創業サポーター。広島県事業引継ぎ支援センター登録専門家。