『中小企業における銀行対応の指針』 …銀行は成長拡大期に最も頼れるパートナーです。
銀行は社会的に大きな役割を期待されており、時には批判の対
象になることもあります。しかし、銀行と実際にお付き合いを
しなくてはならない経営者にとっては、銀行がどうあるべきか
と議論するよりも、今ある銀行をどう活用すべきかと考える方
が建設的です。自社にとっての銀行の位置づけを明確にするこ
とで、銀行対応の指針も明確になります。
◆ 銀行は救済機関ではありません。
「銀行は業績が悪化して困っている企業にお金を貸すのが仕事
でしょう。」とおっしゃる経営者様も少なくありません。確か
にそのような役割も期待したいところですが、行政ではありま
せんので実際は違います。困ったときに助けを求める救済機関
ではないと明確に位置づけ、平時からしっかりとお付き合いを
することを指針としましょう。
◆ 銀行は新規事業のパートナーではありません。
「新しい商品を開発するための資金を銀行が出してくれない。」
とおっしゃる経営者様も少なくありません。銀行は新規事業へ
の取り組みも行ってはいますが、おっしゃる通り現時点では不
十分です。売れるかどうか分からない新規事業への融資はリス
クが高いため、今後も対応が早急に改善するとは考えにくいで
す。世の中にない革新的な新規事業を思いついた時、銀行はア
イデア段階では事業パートナーにはなりえないと位置付けまし
ょう。まずは自己資金や公的な金融機関を利用してサンプルの
製作とテスト販売を行い、顧客ニーズがあることを最低限確認
したうえで、量産するための資金を相談するようにしましょう。
◆ 事業拡大資金を提供してくれるパートナーです。
「銀行は実績ばかり言ってくるが、そもそも実績があったらお
金はもう必要ない・・・」とおっしゃる経営者様も少なくあり
ません。銀行と経営者がボタンを掛け違えるポイントです。経
営者様の多くは、「資金繰りが苦しい時や新規事業のために仕
方なく融資を利用するが、事業が軌道に乗ったら融資は返すも
の。」という基本認識があるようです。一方、銀行は、「一定
の実績がある事業に対して、それをさらにスケールさせるため
の資金を提供するのが役割である。」と考えています。ゼロま
たはマイナスを1にする資金ではなく、1を10にする資金で
す。
銀行対応は経営者として現実的に対処しなくてはなりません。
銀行は、資金繰り悪化や新規事業に取り組む際に頼るパートナ
ーではなく、実績の出た事業をさらに拡大するための事業パー
トナーとして位置付けるのが正しいと考えます。
昭和63年、中央大学商学部卒。
その後、大手ゼネコン勤務等を経て、平成7年、石田雄二税理士事務所開業。
「会計事務所は最も身近な経営スクール」をモットーとし、マネジメントゲームを用いた経営指導は県外にまで及ぶ。
広島県創業サポーター。広島県事業引継ぎ支援センター登録専門家。