『資金調達は長期戦です』 …長い時間をかけて決算書をデザインするというイメージを 持ちましょう。
創業時からお付き合いしている企業様の第4期決算が終わりま
した。資本金100万円で会社を設立し、一緒に300万円の
創業融資を借りに行ったのが始まりです。毎期増収増益で推移
し、第4期の売上高は380百万円、経常利益は13百万円と
なりました。4年間の累積利益は27百万円です。
同社が順調に成長できた要因は、社長の経営手腕が高いことは
もちろんですが、他人資本(借入)を上手に活用できたことも
要因のひとつです。4期が終わった時点で70百万円の借入が
ありますので、自己資金100万円では成しえなかった成長を、
借入を活用することで実現できたと感じます。
借入が大きすぎるのではと懸念された方もいらっしゃるかもし
れませんが、同社は、借入が70百万円ある一方で、30百万
円の現預金と40百万円の売掛金を持っています。もし、今事
業をやめるなら、手元現金30百万円と売掛金40万円の回収
で借入を一括完済することが可能です。もちろんこの辺りのバ
ランスも見ながら借入を進めてきました。
ただ、最初から借入が容易にできた訳ではありません。創業融
資は500万円で申し込みましたが300万円しか出ませんで
した。また、保証協会の保証を取りつけるのも最初は苦労しま
した。実績を積み上げながら、少しずつ借入を増やしてきた結
果、70百万円になったという印象です。
利益が出る事業を有しているなら、資金をたくさん集めて取り
組んだ方が、リターンは大きくなります。しかし、一朝一夕に
資金調達ができる訳ではありません。銀行が融資の判断材料と
している「決算書」のあるべき姿をしっかりとイメージし、そ
れに向かって実績を着実に積み上げていく必要があります。
同社も、1期目から税金を払って利益を計上し、不用意な社長
への貸付や、仮払などが発生しないように努めるなど、しっか
りと決算書をデザインしてきました。それでも、この4年間は、
500万円、1,000万円という単位で少しずつしか資金調
達はできませんでした。しかし、これまでの実績の積み重ねで、
ようやく4期目の決算はイメージに近いものになりました。よ
って、第5期は大きく資金調達ができ、これまで以上に事業を
加速できると思います。
資金調達は長期戦です。今現在資金調達に苦労されている企業
様も、まずは自社の決算書のあるべき姿をしっかりとイメージ
して、それに向かって日々着実に実績を積み上げていくことで、
いつか必ず調達ができる時が来ます。ただ、「そもそもどのよ
うな決算書を目指せば良いか分からない。」という経営者様も
多いと思います。是非、ご相談ください。
昭和63年、中央大学商学部卒。
その後、大手ゼネコン勤務等を経て、平成7年、石田雄二税理士事務所開業。
「会計事務所は最も身近な経営スクール」をモットーとし、マネジメントゲームを用いた経営指導は県外にまで及ぶ。
広島県創業サポーター。広島県事業引継ぎ支援センター登録専門家。