『個人信用情報について』 …個人の金融事故が法人の資金調達に与える影響を考えます。
人生はいつも順調とは限りません。誰もが、様々な事情で、個
人ローンの返済やクレジットカードの支払いが滞ってしまう可
能性があります。本日は、個人の金融事故が法人の資金調達に
与える影響について解説します。
そもそも、個人の信用情報はどのように管理されているのでし
ょうか。金融機関は、個人のお客様への融資状況を信用情報機
関に登録して共有しています。主だった信用情報機関として、
クレジット系の金融機関が情報を登録しているCIC、消費者金融
系の金融機関が情報を登録しているJICC、銀行系の金融機関が
情報を登録している全国銀行個人信用情報センターがあります。
日本政策金融公庫を例に挙げますと、借入申込書の裏面に、こ
の3つの機関の利用および登録について承諾を得る欄がありま
す。最近では個人情報の取扱いが厳しくなっていますので、金
融機関が本人の承諾を得ずに信用情報機関に照会をかけること
はありません。書面で承諾を受けた後、照会をかけてネガティ
ブ情報の有無を確認します。
但し、金融機関が個人信用情報を照会するのは、一般的には、
初めて融資取引を開始する時だけです。融資審査の都度、ある
いは毎年ということではありません。
それでは、ネガティブな情報が出た場合に、法人の融資審査に
どの程度影響があるのかを見てみましょう。
・現在も返済が滞っている。
→新規の融資取引は、お断りされる確率が高くなります。
・過去に返済が滞っていたようだが、先月完済済みである。
→まだ1か月しか経っていないため、もう少し様子を見たいと
して、新規融資を見送られるのが一般的です。もし本当に完
全に立ち直っているのであれば、しっかりと説明して納得し
てもらうことで、新規融資を受けられる場合もあります。
・過去に返済が滞っていたようだが、数年前に完済済みである。
→新規融資取引をしてもらえる可能性は十分にあります。
・度々入金遅れがある。
→これだけで断られることはありませんが、財務内容や業績が
良い等、マイナス面をカバーできるポジティブな材料がない
と厳しくなります。
以上の事例から、事故を解決した時期により影響度合いが変わ
ることが分かります。一度事故を起こしてしまっても、しっか
りと事故を解決することができれば、数年後には信用は回復す
ると考えられます。
昭和63年、中央大学商学部卒。
その後、大手ゼネコン勤務等を経て、平成7年、石田雄二税理士事務所開業。
「会計事務所は最も身近な経営スクール」をモットーとし、マネジメントゲームを用いた経営指導は県外にまで及ぶ。
広島県創業サポーター。広島県事業引継ぎ支援センター登録専門家。