『経営体が患う5大疾病の3つ目【財務無策症候群】という 疾病の正体は…(その3)』 …財務戦略がないために、お金に苦労する経営体に甘んじる病です。
貴社の経営は、本当はもっともっとうまく行くはずです。貴社
の経営にブレーキをかけている何か(疾病)があるはずです。
それらを見つけ出して、このブレーキ(疾病)の治療・予防の
方針を学ぶ事ができれば、明日からの経営が激変するはずです。
経営がうまく行かない理由…企業が患う5大疾病について言及
いたします。
■病名3:【財務無策症候群】という病は…
創業者~中小企業まで、その過半は財務機能を有していません。
また、間違えた考え方を鵜呑みにしておられる経営者も少なく
ありません。
○資金調達のための与信力が低いにもかかわらず、資金のダム
を作って備えようとしません。
○(日傘しかない)金融機関に、資金が不足した時に融資を受
けに(雨傘を借りに)行こうと考えています。
○利益は納税額だけではなく、今後の資金調達力を決めること
になる、これを理解せず、目先の過度な節税を目指します。
※借入れ(融資)可能額は、簡易キャッシュフロー(税引き後
利益+減価償却費)を基準にその概算が判定されます。
これらの財務無知から来る財務無策は、『お金に苦労する経営』
という結果を招くことになります。
■この様に、財務に対する備えが希薄、または、間違えた考え
を持っている経営体を『財務無策症候群』と呼びます。
【財務無策症候群】の経営体には、以下のような症状が現れま
す。
1.金融機関との継続的な関係を築けていない。必要な時のみ
頼る。
2.資金繰りに苦労をしても、借入れは少ない方がよいと考え
ている。
3.資金繰りの余裕が少ない。
4.支払金利に(過度に)敏感である。
5.継続的に資金繰りを管理する仕組みを持ち合わせていない。
6.そもそも『財務』の概念を知らない。
いかがでしょうか?
■『財務無策症候群』という疾病を整理します。
○財務戦略がないために、お金に苦労する経営体に甘んじる病
です。
○原因
財務無知、または、財務無策です。
○症状
手持ち資金が極小であっても、資金繰りに苦労しても、とにか
く借入れを減らして(行わずに)経営を続けようとします。
また、貸し手である金融機関の都合を理解できず、自社の都合、
必要な時に必要な金額だけ貸して欲しいとの借り手の都合で行
動します。少しでも歯車が狂えば、途端に危機的な状況に陥っ
てしまいます。早期の治療が必要です。
■『財務無策症候群』への対応は、財務の機能を持つことです。
中堅以上の企業には、必ずこの機能があります。
○対策
1.金利を気にせずに『借りられる時に借りられるだけ借りる。』
2.『貸し手の論理』(借り手の論理ではなく)に沿って資金
調達を継続する。
3.納税を恐れずに利益をだす。
自己資本の充実と簡易キャッシュフローの最大化を図る。
4.精度の高い6カ月~1年先までの資金繰り計画を持ち続ける。
5.金融機関との継続的な関係を構築する。
■経営体は大きく5つの疾病を患っていると思っています。
その有病率は決して低くありません。
◆病名1:分散症候群 …有病率50%
◆病名2:安売り症候群 …有病率50%
◆病名3:財務無策症候群…有病率70%
◆病名4:前のめり症候群…有病率40%
◆病名5:お人好し症候群…有病率60%
◎これらの疾病に対する処方箋が以下です。
【SP(Simple&Profitable)経営 基本方針】
◆第1条:すべてを単純(Simple)にすること。
◆第2条:高収益(Profitable)な企業作りを目指すこと。
◆第3条:手持ち資金を潤沢(Ample)に維持すること。
◆第4条:変化に対応できる柔軟性(Flexible)のある企業体
を維持すること。
◆第5条:経営判断を明確に(Clearly)にすること。
…次回号につづきます。
昭和63年、中央大学商学部卒。
その後、大手ゼネコン勤務等を経て、平成7年、石田雄二税理士事務所開業。
「会計事務所は最も身近な経営スクール」をモットーとし、マネジメントゲームを用いた経営指導は県外にまで及ぶ。
広島県創業サポーター。広島県事業引継ぎ支援センター登録専門家。