『融資決定までの流れ』…金融機関内での融資決定のプロセスを解説します。
金融機関に融資を申し込んだが、中々回答がもらえず、じれっ
たい思いをした経験のある方も多いのではないでしょうか。
金融機関に融資を申し込んだ後、金融機関の内部ではどのよう
な作業が行われているのでしょうか?
◆ 融資申し込みから決裁までの一般的な流れ
・新規融資の申し込みを受けたら、決算情報や基本情報等をシ
ステムに登録します。決算書情報の登録などはセンターで集
中的に行っている場合が多く、この場合、決算書を社内郵便
でやり取りしますので、登録するだけで3日ぐらいかかって
しまいます。
・決算書情報の登録が完了したら、財務分析資料をシステムか
ら打ち出して決算分析を行います。決算分析は実作業だけで
半日以上かかります。また、決算内容について、必ず不明な
点が出ますので、社長様に質問をしますが、「税理士に聞か
ないと分からない。」といった内容のものが多いため、回答
を得られるのに数日、長い場合は数週間を要します。
・財務分析の結果が良ければ、いよいよ稟議書の作成に取り掛
かります。案件のボリュームにもよりますが、稟議書作成の
実作業も半日以上はかかります。
・担当者が作成した稟議書は、代理→次長→副支店長→支店長
といった順番で決裁されていきます。本部審査案件の場合は、
支店長からさらに本部の審査役に回ります。物理的には、1
日2日あれば決裁できそうですが、大抵の場合、誰かが外出
していたり、他にも優先すべき事項があったりしますので、
実際は数日かかります。もちろん途中で差し戻されることも
あり、そうなれば修正する時間と再度回覧する時間がさらに
かかります。
登録に3日、財務分析に3日、稟議書作成に3日、回覧に3日
かかったとして12日です。金融機関の営業日数は1か月で約
22日程度しかありませんので、担当者が複数の案件を抱えて
いたり、質問のやり取りに手間取った場合、簡単に1か月が過
ぎてしまいます。
融資の申し込みから決裁までに、それなりの時間を要すること
を見越して、申し込みは余裕を持って行いましょう。また、質
問に対する回答は、少しでも早く行うことが、案件をスムーズ
に進めるコツになります。
昭和63年、中央大学商学部卒。
その後、大手ゼネコン勤務等を経て、平成7年、石田雄二税理士事務所開業。
「会計事務所は最も身近な経営スクール」をモットーとし、マネジメントゲームを用いた経営指導は県外にまで及ぶ。
広島県創業サポーター。広島県事業引継ぎ支援センター登録専門家。