『10回払いの融資は本当に使えないのか?』 …資金シミュレーションに基づいて判断しましょう。
金融機関から初めてプロパー融資の提案を受けるときにありが
ちなのは、返済期間10か月など超短期の融資です。金融機関
の担当者は、「取り敢えず実績を作ってもらわないと・・・」
というセリフとともに提案を持ってきます。
先日もある社長様から、「1,000万円の10回払いの融資
を提案されたが、使いようがないので断ったほうが良いですよ
ね?」というご相談をお受けしました。そこで、本当に使いよ
うがないのか、シミュレーションをしてみました。
同社の取引条件は、即金で仕入れ、在庫として滞留している期
間が最長1か月、売上債権を回収するまでの期間が約1か月と
なっています。粗利益率は約50%のビジネスです。
◆借入月の収支は以下となります。
入:借入金1,000万円
出:仕入500万円
差引:+500万円
◆翌月の収支は以下となります。
入:0万円
出:仕入500万円
出:借入金返済100万円
差引:-600万円
◆3か月から11か月後までの収支は以下となります。
入:売上回収金1,000万円
出:仕入500万円
出:営業経費支払い400万円
出:借入金返済100万円
差引:±0円
◆12か月後からの収支は以下となります。
入:売上金回収1,000万円
出:仕入500万円
出:営業経費支払い400万円
差引:+100万円
1,000万円10回払いの融資を受けて、毎月500万円の
仕入を行い、営業経費を400万円かけて月商1,000万円
の売上高を確保することができれば、毎月100万円を返済し
ながら、1年後には、年商ベースで1億2,000万円の売上
増加、1,200万円の営業利益増加を実現できます。(概算
のシミュレーションですので金利は考慮していません。)
もちろん思い通りに売上高が上がるとは限りませんので、慎重
な判断が求められますが、無下にお断りする話でもなさそうで
す。直観的に結論を下すより、資金シミュレーションを実際に
やってみてから判断した方が、正しい結論が導き出せそうです。
昭和63年、中央大学商学部卒。
その後、大手ゼネコン勤務等を経て、平成7年、石田雄二税理士事務所開業。
「会計事務所は最も身近な経営スクール」をモットーとし、マネジメントゲームを用いた経営指導は県外にまで及ぶ。
広島県創業サポーター。広島県事業引継ぎ支援センター登録専門家。